アブザイム(abzyme)、触媒抗体

抗体(antibody)と酵素(enzyme)を結びつけた語で、酵素様活性を持つ抗体のこと。抗体の抗原に対する結合特異性は酵素の基質特異性に酷似したもので、特定の分子と結合し2分子間で分子間相互作用が起き、基質と酵素が結合し反応中間体ができる。この中間体と構造の似た化合物に対する単クローン抗体を作るとあるものは同じような酵素反応を行うようになる。この抗体を「アブザイム」とよんでいる。
1986年、R.Lernerらはエステル化合物を抗原として作製したモノクローナル抗体がエステルの加水分解を促進する事を発見し、「アブザイム」の存在を実証した。
蛋白工学の手法で、抗体が単に結合するだけでなく酵素様の生理活性を持つことができるという可能性を示した報告の意義は大きい。R.Lernerらは窒素原子と炭素原子が結合するアミド結合の加水分解を促進する「アブザイム」を開発した。アミド結合に対する「アブザイム」の特定のアミノ酸部位で蛋白質を切断できる可能性をしめすものである。

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